「林檎は踊る,それど林檎は進まず」。ジョブズに花束を投げ渡す,手袋屋の娘は,何処?
アップル社は,2001年第1四半期に2億5000万ドルの損失を報告する予定だ。だがマック販売店はこの危機に対して,おおむね楽観的。キャッシュバックなどの販促は販売に貢献していると云う。ある再販業者は,CD-RW搭載機とアップルのCDライティングソフト,さらにマックOS Xに期待している。だがアナリストたちは一応に悲観的な観測をしている。
そう云えば,以前はずっとこんな状況だったなと思い出す。あの時,アップルはやることなすこと空振りだらけ,ささいな動きも批評家に酷評され,ちょっとの黒字とたびたびの赤字というダッチロールの繰り返し。出るのは夢想的な予測ばかりで,好転する材料がなにもなかった。その時に比べれば,OS Xや,新しいプロダクトラインの噂(新型ノート,PDA,高クロックデスクトップ)が飛び交う現在は,希望のある時だ。だが,人は希望だけで生きていくことはできない。希望が現実になるその時までの生きる糧を,神は与えてくれないのだ。
年末商戦に向けて商戦たけなわと思いきや,今年は秋口から個人向けのパソコンの売り上げが,ぱったりと止まってしまった。これはアップルだけの話ではなく,どのメーカーもおんなじ。そしてそれは,すでに危機感として現れており,PCメーカーは冷や汗をかきながら一斉に価格ダンピングを始めている(ZDNetショッピングの記事)。そう,アップルにとっては火に油,の状態なのだ。IBMやコンパック,デルなどは,サーバー製品や企業向けの販売物を持っているが(と云うよりそっちが主力),アップルにはパソコンしかない。ビーンボールがこめかみに思いっきりぶつかってきたようなものだ。ではどうするのか? 今四半期の赤字は織り込み済み,来期はとんとん,その次が本当の正念場となる。さて,踊り続ける会議に付きあうよりは,本物の愛持つ,「ただ一度だけ」,の新製品に身を投じたいが…。
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